-第一章-

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「ちょっと待てって、オレが悪かったって」 そんな声はむしろ無視して早足に歩く 「おい、優!お前歩くの早えぇよっ」 って言いながらも追いかけてくるのは5分前まで彼氏だった渉 「は?ごめん今なんて言った?」 「や、その…一緒に住もう!優!」 「……」 え、これなの?大事な用って「一緒に住みたい」事だったの? こっちは大学に課題にバイトにクラブで遊んでたりして疲れてんのに 睡眠時間をたっぷりとれるのは週末しかないのに 寝てる時に何回も電話かけて来て? 大事な用事があるからって言われて、何事かと思って来たんだぞ それが待ち合わせのカフェに行けば顔を赤らめてそんな事言うなんて 耳を疑うよね 男が顔赤らめてんじゃねぇよキモイ 私の貴重な週末返せよ なんでお前と一緒に暮らさなきゃいけないんだよ 呼び出された理由がくだらなすぎて苛立ってしょうがない 幸い喫煙席を選んでくれたようでそのマークを確認しつつタバコを咥える そこでとっさに火を差し出す渉の行動にも引いた 本気で引いた 女々しすぎてキモイし なんで付き合うと選択肢を選んだのか過去の自分にもイラついた クラブで出会ってふざけて勢いでOKした過去の自分を殴りたい 「別れる」 たったの三文字だけどそれ以上の何かを言う気にはもうなれなかった やっぱり付き合うっていうのは面倒で自分には向いてないんだと 再認識したところでカフェを出た
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