-第一章-

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ガタンゴトンーーー ふわふわっと綺麗だなー 大学行きの朝の電車 一番ドア寄りの席を確保した私がなんとなく頭を背もたれに預けたら丁度向こう側のドア付近に立ってる人の頭の一部が目に映った 朝日に照らされて電車の振動に合わせて揺れる髪の毛が妙に眩しい 緩いパーマの茶髪。いいね、女子だね や、まさか男なんて事はないよね そんな事を心の中でしきりなしに呟くのは寝足りないと訴えているような重い頭 土曜日はあれから家に帰ってすぐ寝たけど、結局夜はまた大学の奴らに呼ばれてクラブ遊び 朝帰りした後は目が冴えたまま寝れないからって始業式のショーに出す衣装のイメージを決めデザイン画をとりあえず何十枚か書いた そんで午後には大学で仲良くしてる由香に呼び出されて買い物に付き合い、からの飲み会 結局帰ったのは日付が変わった頃だし 8時間も寝なきゃ一日中頭が重い私は万年寝不足 「とりあえず止めてもらってよろしいでしょうか」 なぜこんなにも寝不足になるのかと過去を思い返しているところで、 朝の無言電車に切り裂くような耳あたりがいい声がすぐそこから発せられた 声からしたら女の人だ その声の主はふわふわ頭のようで、周りの人が何事かと少し距離 をとっている 「な、なにを」 すぐそばで震えているような男の声 何があったのかと周りも気になるようだ 「私の太ももを触っていましたよね」 と、ふわふわ女はそんな大胆不敵なハッキリとした声で、 爆弾を落とした
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