あの日、俺が捨てたもの

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駅を下りると、ふいに俺の腹が鳴った。 寝坊したせいで、朝食を食べ損ねたことを思い出した。 購買で何か買って食べよう。 朝から全速力で走り、足はもう重くて歩くのがやっとだ。 そうでなくても、連日続いた期末テストのせいで寝不足だし、試合間近で部活も休みがなかった。 俺の体はクタクタでヘロヘロだ。 昨日なんて、家に帰って何を食べたか、家族と何を話したか、風呂に入ったかどうかも記憶は曖昧だ。 ただ、気になることがある。 着替えを終えて寝ようとした時、ベッドの上に紙のようなものが乗っていて、俺はそれを掴んでゴミ箱に捨てた。 それが何だったのか、何を捨てたのか覚えていない。 まぁ、ゴミ箱に捨てたぐらいだから、不必要なものだったのだろう。
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