あの日、俺が捨てたもの

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俺は引き返し自分の席に戻ると、渡部はまたにやにやとこちらを見ていた。 「お前、三者面談の用紙まで捨てたのか?」 「後でまたくれるっていうし、まぁ、いいよ」 「仕方ねぇーな。ほらよ」 渡部は俺の肩越しに、あんパンを一つくれた。 校門を入ったところで、渡部が先に行けと言うんで別れたが、購買でパンを買っていたようだ。 俺は渡部のおかげで、空腹をしのぐことができた。 授業が始まると、疲れからか睡魔に襲われそのまま眠ってしまった。 教師たちは、俺を起こすことはなかった。 テスト明けで、見逃してくれたのかもしれない。
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