プロローグ

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黒人のまつ毛をひっこ抜いて、そのままくっ付けたんじゃないかと思うような付けまつ毛を、自分の貧相なまつ毛に乗せたら、はい完成。 接着剤が必要な顔って何? と、思ったら負け。 私の顔を彩る画材道具たちを乱雑にクロエのポーチへ放り投げる。 それからピンクのセットアップを脱いで、廊下に投げ捨てながら体重計の前に立った。 当然Tバックも脱いで、真っ裸になる。 本当なら六十本も付いているエクステも取ってしまいたい。 それだけで百グラムは違うだろう。 それは肩も凝る訳だわ、と中国人の毛を手ぐしで梳かす。 そして無意味に背伸びしながら、ひんやりする台にそっと乗ったら、すかさず手を組んでお祈りをする。 ぎゅっと閉じていた目を片方だけ開けて見ると、45、4キロ。 いや、エクステ分を差し引いて45、3キロだ。昨日と変わってないじゃないか。 これ以上痩せなくてもいいけど、昨日の苦しみが自己満足に終わりそうで、もうがっかりだった。 気を取り直して、随分大人になった自分の体を全身鏡に映してみた。 モデルみたいに片足を流して、腰に手を当てた。 おっぱいはツンと上を向き、鎖骨は水が溜まりそうな位浮いている。 自分の体で一番女らしいと感じるのが鎖骨のシルエットだった。 横から見ると、下腹はきゅっと締まり、お尻はちょっと大きめにカーブして、可愛いアーチが弾む。 ちょっと肋骨が浮いているけれど、それは仕方ないだろう。 バランス良く痩せるなんて、アスリート並みの筋力トレーニングが必要だし。 鏡の前ですっぽんぽんのまま三回転したところで、ハート型の掛け時計が目に入った。
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