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その手紙が自宅の郵便受けに届いたとき、私は動揺した。不審な手紙を受け取ったら起こるであろう動揺が、私の中に自然に生まれたのだ。
それは自分でも驚くべきことだった。
震える指で封を開け、中の紙を取り出す。その短い文面をゆっくりと目で辿る。二度、三度、そこに書かれている意味が理解できないというように、まさか、信じられないというように。何度も何度も読み返す。手に力が入り、その手紙の文面が歪む。私は玄関のドアを閉めると、その場で崩れ落ち、泣いた。
それから私はその手紙をリビングに隠し、夫の帰りを待った。不審な手紙を受け取った私の気分は優れない。
「今日は気分が悪くて夕食の準備ができないの、ごめんなさい」
夫にそう連絡して、私はソファにぐったりと横たわった。
「大丈夫か?」
帰ってきた夫は心配そうに、私に声を掛けた。コンビニの弁当が入った袋をぶら下げている。
「ごめんなさい」
私は泣き腫らした目を隠すように顔を俯かせたままそう言った。
「無理するなよ」
夫はそう言って私の頭を撫でると、弁当を食べ始めた。私はその後ろ姿をじっと眺めていたが、ときどき涙が浮かんで、それを誤魔化すようにクッションに顔を埋めた。
「どうした?」
私の様子に気付いた夫が怪訝そうな顔をした。私は小さく「何でもないの」そう言って寝室へ行った。
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