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第1話・あらすじ
20世紀初頭。宇多川開(19)は、モスクワにいた。開は武士に憧れ、士官学校に入ろうとしたが、受験に失敗してしまう。日本に居づらくなり、医学を志しモスクワに渡っていた兄・宇多川制(25)を頼って逃げるように開はロシアに渡っていた。ロシアでの生活は楽しくないことはなかったが、いずれ日本に帰らねばならなくなると思うと暗い気分になった。
兄に勧められ、開はエルミタージュ美術館を訪れる。絢爛豪華な装飾と絵画に目を奪われている――と、突然、全身白い衣装に身をまとった謎の人物に身柄を拘束される。
気絶した開が目を覚ますと、そこは教会の中だった。目の前にヴィタリ・ジャダン(38)が現れる。ヴィタリはこの教会に資金を提供してもらい、近代科学と魔術を融合させる研究をしているという。ヴィタリは歌川国芳の浮世絵「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」を開に見せる。そこに登場する烏天狗を指差し、これはいったい何者なのかと開に訊く。どうやら開は歌川国芳とつながりがあると勘違いされて拉致されたらしい。
ヴィタリはすでに、教会に出入りする3人の少女、ローザ・ルスラナ(16)、クラーシャ・ネフスキー(14)、エヴァ・フォードロヴァ(17)を見様見真似で空を飛ぶことができる「天狗」に改造していた。美術館で開を拉致したのはローザだった。彼女はバレリーナを目指していたが、少数民族の生まれだったために弾圧を受けその夢を断念していた。
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