あなた

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気がつくと 寒さが押し寄せる頃になっていた あなたと繋いでいた手が 唯一のぬくもりだった 人から見たらほんの小さなことかも知れなくても なんの価値のないようなものに見えたとしても それでよかった それでもよかった あなたと居る時間や あなたと居るすべては 私にとってはそれだけのものがあった いつも程よくが出来ない 感度の良いアンテナを広げすぎる私には この現実がとても痛すぎる時があって そんな時 私はすぐに俯きがちになってしまうから あなたと居るということが どれだけの励みになったか 知れない ひとりで居ても この手にはまだ あなたと繋いでいた手のぬくもりが ずっと残っているような気がする 甘えてだっこをせがむ子供のようで恥ずかしいけれども あなたにはそんな自分さえも見え隠れしてしまう ずっとひとりだったら 気づかなかったこと あなただったから あなただから 気づいたこと 遠隔操作のリモコンは 制限を示す指定距離はないらしい どこに居てもどこからでもすぐに あなたの手でオンにすれば 私のスイッチはすぐに入って 確かに生きているんだなって 感じる 不器用で不格好でいいじゃない あなたの心があればいいじゃない あなたと触れ合う心があれば この体があればいいじゃない 現実も思ったほど捨てたもんじゃないって あなたが教えてくれたんだから
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