ちぎれ雲

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教室一つ一つに雑巾を干すくらいのベランダはあるけど、私と幼なじみの美咲は、6クラス合同の広いベランダが好きだ。 だって、そこからは運動場と体育館が見える。 体育館の中まではさすがに見えないけど、休憩で涼んだり、水を飲んだりで、外に出てくるバスケ部はカッコイイ。 だけど、運動場でサッカー部が練習している今日は、体育館のバスケ部なんて目に入らない。 「やっぱ宮っちはカッコよすぎ」 3階のベランダから背伸びをして、運動場を見れば、美咲と同じ隣のクラスの宮っちこと、宮田和樹がチームの中心となって、練習している姿があった。 3年生が引退してから、宮っちはキャプテンになったと美咲が教えてくれた。 こういう情報をいち早く知ることができるから、同じクラスは羨ましい。 美咲が宮っちを好きなわけじゃないけど、ズルい。 「あーカッコイイー」 「サッカーしてる時はねぇ」 「してない時もそこそこいけるよ」 「そこそこって何だよ」 私達の笑い声がベランダに響く。 好きな人ほど貶したくなる。 だから、よく言う男子が好きな女子をいじめちゃう気持ちはわかる。 見た目はそこそこの宮っちだけど、私は好きなことに熱中する宮っちを好きになった。
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