2人が本棚に入れています
本棚に追加
教室一つ一つに雑巾を干すくらいのベランダはあるけど、私と幼なじみの美咲は、6クラス合同の広いベランダが好きだ。
だって、そこからは運動場と体育館が見える。
体育館の中まではさすがに見えないけど、休憩で涼んだり、水を飲んだりで、外に出てくるバスケ部はカッコイイ。
だけど、運動場でサッカー部が練習している今日は、体育館のバスケ部なんて目に入らない。
「やっぱ宮っちはカッコよすぎ」
3階のベランダから背伸びをして、運動場を見れば、美咲と同じ隣のクラスの宮っちこと、宮田和樹がチームの中心となって、練習している姿があった。
3年生が引退してから、宮っちはキャプテンになったと美咲が教えてくれた。
こういう情報をいち早く知ることができるから、同じクラスは羨ましい。
美咲が宮っちを好きなわけじゃないけど、ズルい。
「あーカッコイイー」
「サッカーしてる時はねぇ」
「してない時もそこそこいけるよ」
「そこそこって何だよ」
私達の笑い声がベランダに響く。
好きな人ほど貶したくなる。
だから、よく言う男子が好きな女子をいじめちゃう気持ちはわかる。
見た目はそこそこの宮っちだけど、私は好きなことに熱中する宮っちを好きになった。
最初のコメントを投稿しよう!