無理です!!

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下校途中のミクはおかしかった。 普段なら色々会話をするのに全くしない。 それどころか、いつも一歩後ろを歩くミクは三歩くらい後ろを歩いている。 校舎を出て送迎のリムジンが停まっているところまで来ると、ミクは駆け出して俺の前に出てドアを開けてくれた。 ……それはしてくれるのか。 「ありがとう、ミク」 「そっそんな、……もったいないお言葉です」 目を伏せ可愛い表情で言われた。 確かに可愛いけど、目をあわせて言って欲しかったな。 車にミクも乗り込んで、家まで走り出した。 ミクは車の中でも黙りで、視線すら合わせてくれないようで俺はミク淋しくなり、今日は俺から話しかけた。 「ミク、新一年生はどう?」 「可愛いです。……僕がしっかりしなきゃって思いました」 「良いなぁ〜。俺もミクに可愛いって言われたい……」 「坊っちゃんはカッコイイんです!!とってもハンサムで、僕の憧れの人ですっ」 「じゃ、なんでその俺の目をみて話してくれないの?」 俺はミクの小さな手を取って、視線を強引に合わせた。 「やっと俺を見てくれた」 ……見てくれたけど、大きくて可愛い瞳が揺れていた。 こんなミクを見るのは初めてで、歯止めが効かなくなり、俺は小さな彼の身体を抱き締めていた。 「あっああああの、坊っちゃんっ駄目です!!僕、無理ですぅ」 「何が無理?」 「……」 「何があったかは知らないけど、あんま無理しないように。ミクはいつものミクでいいんだ」
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