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俺とミクは同じ敷地内にある、エスカレーター式の学校に通っていた。
その敷地内をミクは俺の一歩後ろを歩いている。
「……あぁ。折角高校卒業したっつーのに、なんでまた大学に通わなきゃなんないんだよ」
俺は高校を卒業したら、就職して普通の人生を歩きたかった。
「坊っちゃんは『徳田財閥』のご子息です。僕が立派な『男』にしてみせます」
「ふーん。じゃ、ミクは俺を立派な『男』にするためならなんでもする?」
俺の言っている意味は勿論ヨコシマな方向でだ。
「当たり前です!!僕が何のために坊っちゃんに仕えているかを知ってください……」
多分ミクのいう立派な『男』と、俺のいう立派な『男』は違う。
因みに俺は童貞じゃないから、ある意味立派な『男』だ。
「じゃあさ、ミク。俺の大学入学記念に、『ハジメテ』を頂戴」
「はい!!」
俺がそんなことを考えているとはミクも思ってもみないだろうな。
振り返って確認したミクは、今日も無邪気な笑顔で俺を見上げていた。
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