第四話

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部屋は電燈を消されて、一瞬のうちに真っ暗になった。 寝巻きに着替えた間宮中尉が蚊帳(かや)の中に入ってくる。 わたしは中尉に背を向けて横たわっていた。 生まれて初めて一人きりで長い間汽車に乗って、全然知らないところへ来て、全身はくたくたに疲れているはずなのに、目は異様に冴えている。 やけに蒸し蒸しする、暑い夜だった。 間宮中尉が蒲団に身を収めると、息をするのも(はばか)られるくらい、辺りはしーんと静まりかえった。 外からだろうか、猫の鳴き声が聞こえてきた。 ……()()なことじゃねぇ。今の時季に猫は(さか)らんじゃろうに。 耳を澄ましてみた。 「・・・ぅう・・・ぁあ・・・ぅう・・・」 外からの声じゃない。たぶん、(ふすま)の向こうからだ。 そして、猫の鳴き声じゃない。 ……女の声じゃわ。 それは、女のすすり泣くような声だった。 ……一緒にお風呂へ行った薫子さんかもしれん。 なにかあったんじゃろか。 うちは寝返りを打って、中尉の方へ向き直った。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ *いなげな ー 奇妙な・不思議な
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