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蚊帳が小さいため、間宮中尉はわたしが思っていたよりもずっとすぐ脇で横になっていた。
暗闇の中で中尉と目が合う。
彼もまだ眠っていなかった。
また、声が聞こえてきた。
「・・・ぁああ・・ぅうん・・・はあぁ・・・」
ようやく、うちは気づいた。
……あがぁな声は……そがぁな声は……
うちは、あわてて中尉から視線を外した。
そして、また寝返りを打って彼に背を向けようとした。
すると、中尉は強い力でわたしを引き寄せた。
あっという間に、うちは間宮中尉の腕の中にいた。
困惑しきって混乱状態になったうちは、必死にバタバタもがいて、なんとか逃れようとした。
でも、大きな体躯の中尉には太刀打ちできず、ただ身につけていた寝巻きの裾が乱れ、襟元が緩んだだけだった。
中尉はうちの上に覆いかぶさった。
耳元に彼の息がかかる。
「……大人しゅうしてくれんか。男に恥、かかせんでくれんなや」
甘い、ささやくような声だった。
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