第五話

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中尉の顔が近づいてくる。 中尉の唇がうちの唇を覆う。 うちは自然と、中尉の背中へ、腕を回した。 中尉の舌が、うちの口の中に入ってきた。 「接吻」というものは知っていたが、それはただ唇と唇とを合わせるだけだと思っていた。 まさか、そんなことまでするとは思わなかったので、うちはびくっとした。 だけど、中尉は躊躇(ためら)うことなく、うちの舌に自分の舌を重ね合わせてきた。 うちは回した腕に力を込めた。 唇を離したあと、中尉は半身を起こして紐を解き、身に纏っていた寝巻きをするりと脱いだ。 十代の頃から軍隊で鍛え抜かれた、しなやかな筋肉を持つ(たくま)しい肉体があらわれる。 その表面は既に汗で光っていた。
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