第一話

5/6
前へ
/36ページ
次へ
海軍には「士官の結婚は大尉に昇進してから」という慣例があるし、海軍大臣の承認も必要なため、今すぐにとは云わない、とりあえず結納だけ済ませておけばそれで良いのだから、と喰い下がった。 父も母も、海軍中尉を姉妹で袖にさせる勇気はなかった。 こうして、うちが間宮中尉に嫁ぐことが決まった。 でも、訓練で忙しく休暇が取れない中尉と会ったのは、見合いの日と結納の日の、たった二度だけだった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

937人が本棚に入れています
本棚に追加