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第四話
うちは呆然と立ち尽くしていた。
夜は別の部屋を用意してあるというので、父はうちをここへ寄こしたのに。
不機嫌そうに顔を顰めた父の顔が浮かんだ。
どんなときでも明るく朗らかに笑う母の顔も。
そして、好きな人と結ばれることになって、一段と綺麗になった姉の顔も。
……今頃、なにしょうるんじゃろ。
うちの目に涙が込み上げてきた。
でも、ここで泣くわけにはいかない。
だから、うちは気を紛らわすために、胸に抱えた風呂の道具を片付けにかかった。
着替えた着物や肌襦袢を衣紋掛けに吊るし、濡れた手ぬぐいを干し、汚れ物を鞄の中に入れた。
できるだけ、バタバタと音を立ててやった。
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