第七話

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威張りくさった陸軍の奴らはどうだか知らんが、わしら海軍の男は惚れた女には言葉を惜しまない。 わしらは(ふね)に乗り海洋に出て闘うのが仕事である。 漁師と同じ「板子(いたこ)一枚下は地獄」の世界だ。 実戦であろうと訓練であろうと、いつも死がそこにある。 だから、いつでも堂々と死を迎え入れられるように、娑婆(シャバ)で未練を遺さないようにするのは、帝国海軍軍人として当然の心構えなのだ。 いつも痴話喧嘩ばかりしている相棒だって、寝間の中では恋人に甘い言葉をささやいているに違いない。
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