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「義経並みの奇抜な作戦か」
神谷は、わしのコップに麦酒を注ぎながら、独り言のようにつぶやいた。
「……それが、今やっとう訓練かもしれへんな」
わしらが岩國の基地で行っている訓練は、前代未聞の過酷極まるものだった。
元来、艦上爆撃機……艦爆は、敵の航空母艦への急降下爆撃が基本である。
とは云うものの、明らかに常識では考えられない低空飛行から急上昇し、これまた常識では考えられない角度で急降下し、さらに地面あるいは水面ギリギリのところで機体を立て直す訓練を、わしらは連日連夜 行っていた。
操縦桿を握るわしの判断が少しでも鈍れば、後ろに乗る神谷の命まで果てる。
まだ自分の同輩や部下の者たちにはいないが、ほかの隊では既に命を落とす者も出ていた。
この訓練に入って以来、一人乗りの戦闘機に転籍しようかと何度思ったことか。
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