第二話

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第二話

「あぁーっ、もう自分らだけで食べとうっ」 廣子と一緒に部屋に入ってきた、神谷の婚約者の薫子(ゆきこ)が叫んだ。 二人とも白いブラウスにスカート姿だった。 「まだ飯には手ぇつけとらへんわ。大体、おまえらが長風呂過ぎるからや」 神谷が不平を云った。 「長風呂って……あたしら、お風呂場であんたらの汚れ物を洗濯しようってんよ。よう云うわ」 薫子はぷんぷん怒り出した。 廣子は、おれがその辺に適当に置いた風呂の道具を見つけて拾い上げ、洗濯物の籠と自分の風呂道具と一緒に、部屋の隅に寄せていた。 それを終えると、廣子はおれの隣に腰を下ろしながら、薫子に向かって、 「そんとな顔しょうると、せっかくの料理がまずうなるけぇ。(はよ)う、座りんさいな」 と微笑みながら促した。 薫子も渋々それに従って、神谷の隣に腰を下ろした。 「さすが、間宮が選んだ女だけあるわぁ。 人間ができとう……だれかとは大違いや」 神谷がおれを見て、しみじみ云った。 「だれがやってえっ」 薫子の目がまた釣り上がった。
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