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「……何で、こんな……?」
まるで漫画のような光景に、僕はとまどっていた。
そこに、
「案ずるな。君と落ち着いて話をするために、ちょっと時間を止めただけのことだ」
ふと、背後から声がした。
「誰だ?」
と、僕は振り返る。
そして絶句した。
そこにはドヤ顔をした男が立っていたのだが、その男は……。
「何だ。驚いて声も出ないか。……まあ、無理もあるまい。見ての通り、私は……」
「変態だッ」
僕は叫んだ。
男は年齢不詳。
肌の色はスカーレッド。
モヒカン。
ちょび髭。
そして全裸。
大事なとこなので繰り返します。全裸ッ。
テストには出ませんがもう一度だけ。全裸ッッ。
いちおうの気遣いなのか、大事なところだけは銀色の煙で隠しているという始末。
「ちょっと待ていッ。よく見ろッ。よくよく見ろッ。目をかっぽじれッ。私のどこが変態だというのだッ」
と、男は主張しているのだが……。
しかし、これを変態と呼ばずして、いったい何を変態といわんやッ。
ついでにかっぽじるのは基本、耳ですからッ。
「つうワケで、どこをどう見ても変態だからッ」
「違うッ。私、ランプの魔人だよッ。おとぎ話で聞いたことあるでしょ。有名でしょ。ランプの魔人ッ」
「うるさいッ。聞く耳持たんッ。変態めッ」
「だから魔人だって言ってんだろッ。この真紅の肌。煙も時間も自在に操れる。こんな人間いないだろッ」
「確かにそれは一理あるな。……じゃあ、本当に魔人なのか?」
「そうだ。魔人だ」
自信満々で男は答えた。
男のいうことは荒唐無稽すぎた。しかし、実際に時間は止まっている。時間を操るなど、確かに魔人でもなければ不可能だろう。煙を操るというのも……。
と、確認するためには男の股間を見なくてはいけないので、それは無視しよう。
この男は本当に魔人なのだろうか?
考えたあげく、
「でも例え魔人だとしても、オマエが変態であることに変わりはないからなッ」
そこは、たぶん絶対に譲ってはいけないところだとは悟った。
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