退職願 180901

2/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 くそおおおお。  勝手に嘆くのだ。口が勝手に。糞だ。確かに糞だ。糞以外のなんだ。糞じゃないか。糞に糞と言って何がわるい。恰好が悪い。そうだ。確かにそうだ。恰好が悪い。そう思う。自分でそう思う。だけど。口が。この口が。口が勝手に嘆いちまうんだ。口が勝手に。仕方ないじゃないか。情けないよ。情けないんだが。だけど口が勝手に。勝手に言うんだ。どうにもならねえんだ。嘆かせてくれ。嘆かせてくれよ。  くそおおおおおおおおおお。  わかるか。この気持ち。この俺の気持ち。どれだけ懸けてきたか。どれだけ俺が命を懸けてきたか。俺の会社だ。俺の会社。俺の会社だぞ。俺の。なのに。なのになぜ。株主? 株? 株ってなんだ。株やってる奴に何がわかるんだ。儲けるとか儲けないとか。そんな。そんなんじゃ。そんなんじゃない。そんなんじゃないんだ。世界が驚くんだよ。世界を驚かせるんだよ。最高だって叫ぶんだよ。クレイジーだって踊り出すんだよ。世界が。世界が色付くんだよ。世界が変わるんだよ。そのためにやってきたんじゃないか。そのためにここまで来たんじゃないか。そうだろ? そうだよな。そうだろ? そうなんだよ。だけど何? どういうことだよ。これはどういうこと? 失格? 失格ってなんだよ。社長失格って。なんだ。何言い出すんだよ。不信任? 依願退職? 今退職すれば退職金? そんなものいらねえよ。金なんかいらねえよ。俺は。金のためじゃないんだよ。金のために生きてるんじゃないんだ。金のために会社作った訳じゃないんだ。金のために命懸けたんじゃねえんだよ。お前ら。金かよ。結局金か。金かよ。金なのかよ。金じゃねえよ。これからは金じゃねえ。金なんかじゃねえんだ。わからねえかな。俺達の時代が。金じゃない。俺たちの時代が来るんだよ。来ようとしてたんだよ。来る筈だったんだよ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!