かわいい子が好き

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かわいい子が好き

 サイコパスは、今日も仕事だ。  朝起きて、お風呂に入る。朝食を食べる時間はないけど、一杯のコーヒーだけは忘れない。歯を磨いて鏡でチェックして、家を出た。  いつもの電車にいつものドアから乗り込むと、いつもの席に腰を下ろした。誰もが好きな、シートの端っこ。パーソナルスペースを侵害されない最高のポジション。  ……あれっ?  座ってしばらくしてから気がついた。今日はなんだかいつもと違う。  こうして毎日同じ電車に乗っていると、見かける顔はいつも同じ。人がうじゃうじゃいる都会と違って、いつもと違うことが周りで起きていればすぐ気がつく。  なんというのか……違和感?  その正体を掴みたく、携帯の画面へと落としていた視線を前に向けた。  すると……  サイコパスは、目の前の女性と目が合った。  即座に逸らす女性の姿。上に向いた大きな瞳が困惑を誘う。戸惑いから自分もすぐ携帯へと視線を戻す。  ……ん? なんだ? いまの……。  サイコパスは、向かいに座る女性が気になってしまった。  先ほどから感じていた違和感はおそらく彼女。彼女がこっちを見ていたその気配を感じていたのかもしれない。いや、そうとしか考えられない。     
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