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サイコパスは、いつもの日常が変わりゆく空気を感じた。
知らない女性に見られていたと思うと、それがどういう意味を表すかは関係なく打ち付ける、鼓動の速さを止めることはできない。音はイヤホンを伝って自分の耳に響き、その響きにより思考は深く沈んでいく。
一度気になりだすと、自分も相手の女性を見ることがままならない。携帯の画面から目は離さずとも、意識はずっと向かいの女性へと。
視界ギリギリに入るところで女性の気配を探りつつ、いろいろと考えてしまう。
もしかして、好意?
サイコパスは、好意を持たれたのではないかと考えた。
こっちを見ていたということは、少なくとも興味があったのだろう。それはつまり……好意……?
サイコパスは、頭の中に広がるバラ色の妄想に囚われてきた。
どうしよう……この後話し掛けられたりしたら。
どうしよう……好きだって言われたら。
どうしよう……付き合ってくださいって告白されたら。
サイコパスは、携帯を見ながらも不自然なにやけ顔を必死に隠す。
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