慰謝料と指輪

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慰謝料と指輪

泣くだけ泣いて、私はテーブルに置きっぱなしになっている銀行の封筒を見つめた。 300万。 預貯金も保険証書も私が管理しているのだから、おそらく独身時代の貯金からでも出したのだろう。 こんなものあったって…… 私は封筒の中身を取り出すと、帯封を切って店内にばら撒いた。 紙の束を好きなだけばら撒いて捨てると、私は飲食代をテーブルに置いて店を出た。 帰り道の歩道橋の上から結婚指輪を捨てると、少し気持ちが晴れた気がした。
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