母と子

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 自分から、こんな事を言わなければいけないなんて。  恥辱に染まり、目をギュッと瞑った美夕に、滉はククッと笑った。 「自分の口で言えよ」 「……おねがい」 「聞こえないな」 「お、おねがい」 「ちゃんと言えよ」  滉は美夕を抱きしめる。 美夕は滉の硬く分厚い胸を背中に感じながら、破れかぶれに近い口調で言った。 「自分の指じゃ、だめなの。 奥に届かないの」 「じゃあ、どうしろって」
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