1

3/6
前へ
/6ページ
次へ
彼女とは、とある風変わりなイベントで出会った。 当時の僕は失恋と失業をほぼ同時に経験したばかりで……実を言うと、まったく乗り気ではなかったのだけれど。 落ち込む僕を励まそうという友人の誘いを、無下にはできなかった。 彼女は会場の隅にひっそりと佇んでいた。 照明もろくに当たらないような隅っこで――。 控えめに。 ひそやかに。 ――きっと、僕に見つけてもらうのを待っていたのだと思う。 「どう? 気になる子、いた?」 「……別に」 友人の問いかけにも、僕は興味のないふりをした。 だけど本当は、彼女のことで頭がいっぱいだった。 だから僕は、友人には内緒で彼女に連絡を取った。 そして彼女が初めて僕の家にやってきた時――。 僕は感激のあまり、彼女の細い身体をぎゅうぎゅうと力一杯抱きしめてしまった。 そんな僕を拒むことも責めることもなく。 彼女はただ静かに受け入れてくれた。 彼女と過ごした初めての夜――。 細い腰。 上品な臍。 弾力のあるお尻。 すべすべとした手触りのいい内腿。 そして、水草のような薄めの陰毛。 仄かな月あかりに照らされて浮かび上がった彼女の裸身を――。 僕は今でも忘れられない。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加