1

4/6
前へ
/6ページ
次へ
彼女との同棲生活は、凪いだ海のように穏やかだった。 嵐のように気性の荒い前のカノジョと違って。 彼女は実に控えめで大人しく、従順だったからだ。 彼女との生活に溺れた僕は、家から出ることも億劫になり、一日中引きこもるようになった。 朝から晩まで彼女の柔らかい胸に顔をうずめ、ピンク色の小さな乳首を赤ん坊のように吸っていた。 仕事も、恋愛も……何もかもうまくいかず、現実から逃げ続ける僕を。 やりきれない苛立ちから、彼女を乱暴に扱ってしまった時でさえも。 彼女は微笑みをたたえながら、ただ黙って見守ってくれた。 ――だけど。 そんな穏やかな日々は長くは続かなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加