コスモミロスの猫スピンオフ~ルーツィアの一年

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「んで、ピスィカは地球人と組んで、誰を殺るつもりなんだ?」  チスイコウモリのトムデが天井から逆さ吊りの姿勢で下卑た笑いを浮かべている。 「何度も言ったでしょ。ピスィカはあんた達の派閥争いに興味はない。」  一族も一枚岩ではない。様々な利権をめぐって、複数の派閥が対立している。今は地球人との戦いで表面上は結束しているが、水面下では静かに火花を散らしていた。それは戦局がこちらに傾けば傾くほど激しくなっていった。  トムデはピスィカがいずれかの派閥の密命を受けて、地球人を取り込もうとしていると考えている。その情報を敵対する派閥にリークして、己の出世に結び付けようという魂胆なのだ。 「本当の事を言えよ。そうすりゃ、ちっとはマシな待遇にしてやれるぜ。」  ねっとりとした口調に我慢の限界に達した。  最近、やっとまともに動くようになった足の甲で小石をすくいあげ、それを天井めがけて思いきり蹴りあげる。  万全ならトムデの頭もかち割れただろうが、狙いのそれた小石はトムデの脇の岩壁を叩いて地に落ちた。 「な、なにしやがんだ!」 「うるさい。」 「こ、このやろう、人が下手に出てりゃ…。」  喚くトムデを私は無言で睨む。小心者にはそれだけで充分だった。 「もう寝るから、出てって。」  そう言って私はトムデに背を向けて目を閉じた。  トムデが何か喚きながら、出ていくが、その気配を追うのも億劫だ。
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