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由梨はお弁当を受け取ると包んでいた風呂敷を膝の上で広げる。
「おぉ!美味しそう」
「あ……当たり前でしょ!私が作ったんだから」
嬉しさのあまり白坂から少し顔を背ける由梨。
白坂からは見えないように少し微笑むのだった。
箸を使って弁当箱の中の物を掴む。
「美味しい!!!」
「よかった」
今度は白坂に見えるように微笑んで呟く由梨。
そしてだいぶこの状況に心が追い付いてきた白坂は無心に驚きの行動に出る。
「ゆっ、由梨は食べないのか?」
「え……あ……」
「はいっ……」
「えっ!?」
食べないのかと言われてしまい慌てて箸を構え直す由梨の目の前に、白坂は箸で掴んだものを差し出す。
「たっ食べてみ、美味しいぞ?」
「えっ!?あ……うっ…………うん」
先ほどの微笑みで薄れたのだが、再び恥ずかしさが込み上げて顔を真っ赤にする由梨。
片手で頬に掛かる素直な髪をかきあげながからゆっくりと口を開ける。
「…………う……うん美味しい!」
そして口にするのだが、今の由梨には味など全く感じない。
嬉しさ、恥ずかしさという山が大噴火を起こしそうなほどであったからである。
「…………」
由梨はその感情を消そうとして弁当箱の中のものを掴んで口にする。
その後、
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