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先にされた屈辱感が心の中で沸いたのか、それとも返さなければならない使命感に襲われたのかは定かではないが、
「……はい」
「ん!?」
今度は由梨が白坂の顔の前に差し出すのだ。
「ちょ……ちょっとまて……。それは……」
「ん?……もしかして……私じゃ嫌?」
「いいいい……いやいや、それは違うよ。むしろ嬉しすぎるくらいだよ!うん」
いつになく白坂は動揺する。
「じゃあ……、はい」
「まっまま……まて!それは、かっ……かっかかか間接……き……すでは?」
「そう……だよ?」
「そそそそっ……そうだよって!」
白坂は自分のしてしまったことに全く気づいてなかった。
最初に仕掛けたのは自分なのにも関わらず、それだけ何も考えられていない状況だったのだ。
「河意が先にしてきたんじゃない…………もうっ」
「えっ……あっ……う?え?あ……」
ようやく自分がしてしまったことに気づいた白坂は、言葉にならないことをいい始める。
「食べたくないなら……あげないよ?」
「え……あっ……ほ……ほしいです」
高鳴る鼓動を無理やり押さえつけて口を開ける白坂。由梨同様に味覚が完全に麻痺してしまっていた……。
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