26.行方

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「行くか」 「そう……だね」 手書きの簡易的な地図を頼りに歩みを進めて行く。 影人が来てもいち早く気づけるようにビルの合間を見ながら俺たちは進んで行く。 「…………」 「…………」 しおりも俺も話そうとはしない。 しおりは俺の後に続いて歩いているがやや距離を取っているようにも感じる。 片手には包丁、そして腰には神林さんから貸してもらっているSIG P220を装備している。 「…………ここからか……」 「……………」 手書きで書かれた地図の終わりまでたどり着いたようだ。 目印は交差点だと歩夢が言っていたためそうだろう。 「あいつらは…………」 交差点の真ん中から歩夢たちの方角、そして通るだろう道路を見てみるが人影はない。 もう通りすぎたのか──、 それともまだなのか──。 そんなことを気にしながらまた歩みを進めて行く。 今度は先程よりゆっくりと、そして周りを注意深く見ながら。
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