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27.夢と答え
「河意…………。河意」
夢を見た……。
不思議な夢を──。
「し……おり」
何も見えない真っ暗な空間に反響するように響いたのはしおりの声だった。
「いきなりいなくなってびっくりした……よね」
「いなくなって……、ってお前今どこにいるんだよ!」
「それは……秘密」
すると目の前にしおりの姿が現れた。
「私は大丈夫。そしてわかったの」
「なんのことだ……?」
「この世界から現実に戻る方法」
「なんだと!?」
「河意にだけ特別に教えてあげる。この世界から出るには──────」
言葉が出なかった。
まさかそんな方法だったなんて……。
「河意も大切な人がいるんだよね。その人のためにも」
しおりは微笑んだ。
会ってから初めて見る笑顔を見せて俺に言った。
「待ってるから、早く戻ってきてね。大好きだよ!」
いつも冷静でクールなしおりとはまるで別人のような一言。
俺の視界に映るしおりの姿は由梨の姿にも見えた。
それ以上、何も言うことなくやがて彼女は暗闇へと消えていった──。
深い深い眠りの世界へと俺は飲み込まれた。
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