29.夜と姿

2/5
前へ
/133ページ
次へ
「ありがとうございました」 「お邪魔しました~」 その後、山本さん宅を後にした私たちはそれぞれの帰路につきました。 月が姿を表しても、星空が広がっても私はまだ家に戻りませんでした。 「…………」 着いた先、それは学校でした。 夜の学校というのはいくつもの噂があるように、飲み込まれそうなほどに不気味でした。 「河………意」 彼が無事でいるかどうか不安でした。 破裂しそうなほどに心は負の感情に染められています。 「楽しかった……のに……」 楽しかった。 その日々が戻ってきて欲しい。 月明かりに照らされて静かに煌めく涙。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加