プロローグ

2/2
74人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
──あなたは都市伝説というものを信じますか? 地球外生命体の存在、地底人の住む世界への入り口、地球が滅ぶ日、幻獣等々…………。 無数に存在し年々増えていく都市伝説の数々は、多くの人々の心に引っ掛かり不思議と人を動かしてしまうという驚異的な力を秘めている。 では問い方を変えることとする。 あなたは都市伝説を信じることができますか? 信じるにしても、信じないにしてもそれは十人十色。 そう自由である──。 だが、もし都市伝説が本当だったらあなたは何を思い、何を考えるのでしょうか──。 舞台は色とりどりな自然に囲まれたとある街。 そこに住む主人公 白坂(しらさか)河意(かい)。 そしてヒロイン 梶谷(かじたに)由梨(ゆり)。 2人の住む街には数年前に起きた事件から、ある都市伝説が顔を覗かせていた……。 突然、ある兄妹が消息不明になってしまったというのだ。 何者かが誘拐した可能性も考えられたが、全く手掛かりが掴めず事件は現在も未解決のまま。 神隠しと言っていい出来事なのだが、都市伝説の内容は神隠しなんてものではなかった。 詳しい情報の発信元は不明であるが、神隠しではなく彼らは裏の世界に行ってしまったというのである。 当然、警察や消息不明になった兄妹の家族は絶対に信じなかった。 ただの都市伝説。 科学的に証明できずあり得るわけがない。 警察や家族以外にも多くの科学者たちがこの事件に挑んだが手も足も出なかった。 それからかれこれ数年。何事もない穏やかな日々を過ごす彼らの頭からは、そんな都市伝説の存在は消滅への一歩を歩んでいた。 止まることの無い秒針の元、みな平等な明るい毎日。 夜という暗い世界を受け入れ、一度目を閉じれば日は昇り雲は流れ、日が欠けて月が現れる。 星はやがて赤にのまれてやがて日はまた昇る……。 変わらない町、変わることの無い友情、変わることの無い生活──。 しかしそれは突如として終わりを告げる。 なんの予兆もあるわけでなく、一瞬にしてそして静かに──。 白坂の失踪…………。 この物語は主人公である白坂が日常を取り戻す物語。 そしてヒロインである由梨の白坂を探す物語。 2つの物語は時にぶつかり、 時に反発し、 複雑に絡み合いながら同じ時を刻んで行くのである……。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!