3.屋上とベンチ

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3.屋上とベンチ

「屋上なんて初めて来たな~」 眩しい日差しが照りつける昼時の屋上。 教室でしばらく有名になってしまった時から約2週間。 昼での屋上で起こるイベントはもちろん……、 「お弁当作ってきたの。この前のお礼かな」 「おっ!ありがとう」 こういう時用に用意されている訳ではないと思われるが、屋上には都合よくベンチが設置してある。 お互いに緊張しながらも寄り添って座る2人。 由梨はお弁当の風呂敷を開けようとするのだが…………、 「あ……ん…………んん……」 「な……なにやってるんだ?」 「ほ……ほどけない」 心は強くいるのだが体はとても素直な様子で、白坂と寄り添っていることで緊張して手が震えていた。 微かにとかではなく、誰がどうみてもわかるように大きく震えていた。 「お……俺が開けるよ」 由梨の膝の上。 両手を伸ばして弁当が入った風呂敷を掴むのだが、緊張もあってか軽くお互いの手と手が触れ合う。 「んっ…………」 「おっ…………」 手が軽く触れるだけでもお互いの鼓動はより大きく音を発し、より激しく打ち付ける。 頬も真っ赤に熱を持つ。 「あっ開いたぞ」 「あ……りがとう……」 ほどけた口が開かないように持ちながら由梨にお弁当を返す。     
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