二条城 中も外も 足音す

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二条城 中も外も 足音す

 京都駅からバスで25分、俺たちは二条城に着いた。タクシーやレンタル自転車でも使おうかと思ったが朧げながら残っている記憶でバスから降りた記憶があるのでバスにした。あくまでこれは修学旅行だ。観光に来たんじゃない。 二条城二の丸御殿唐門の前で写真を撮るとはとこが尋ねてきた。 「ここ、誰が建てたの」 「徳川家康だよ」 小6で社会で日本史やるようになったんだからこのぐらいリサーチしとけよな。 「何で建てたの?」 来たよ、子供特有の何で攻撃。こいつとは古い付き合いだがなぜなぜ期が終わってないのだろうか。友人と二人旅をした時は「徳川家康なんてやんごとなき御方が祇園に行けないから太夫を呼ぶために造った」と言った教科書には載らない答えで笑いを取ったのだが今回はそうも行かない。 「あ、ああ。上洛する時の宿だよ」 こうとしか言いようが無かった。天下の大権現様を泊められるような宿なんてありゃしないから幕府で造るしかない。あの狸爺なら平然と遊郭から出てきそうな気もするが。 暫く進み、はとこは鶯張りの廊下の音が面白いのか迷惑にも往復して音を楽しみ始めた。そうか、ひとクラスでゾロゾロ並んだうちらの時と違って今回は一人だけだからこんな事も出来るのか。 「僕知ってるよー 敵の侵入を防ぐために音が鳴るようになってるんだよね」
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