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「春の陽炎」
穏やかな春に 不釣り合いにギラつく太陽は
悲しみの邪魔をした
泣きたいのに
悔しいのに
叫びたいのに
暑くて
汗がしたたり落ちて
喉が渇いて
ね、涙も声もでなかったよ
命の儚さに打ちひしがれて
生きとし生けるものの時はその刹那
何かに吸い込まれるように 消えてしまうのだと知って
私はこんなにも悲しいのに
穏やかな春に 不釣り合いにギラつく太陽は
悲しみの邪魔をした
深い喪失感に身を包まれて
最後にあなたを見届けたいのに
暑くて
汗がしたたり落ちて
喉が渇いて
それが私を現実に引き戻して
私が生きていることを実感させて
なんだか余計に
悲しかったんだ
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