感情複製

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 翌朝。私は彼女たちに話しかけていた。 「ねえ、昨日は楽しかったね。カラオケにボーリングにゲームセンター。」 「え?」 彼女たちは皆同様に首を傾げた。 「えっと、倉井さん?何を言っているの?」 紅累子さんが、私の名前を言って確認してくる。 「何って、昨日私たち一緒に遊んだでしょ。」 なおも首を傾げる彼女たち。私、何か変なこと言ったかな。 「えっとね、倉井さん。普段ほとんど関わってなかったよね。急にどうしたの?というか、どうして私たちの遊んだ内容知ってるの?」 彼女たちの目がだんだん怖くなってくる。  あれ、おかしい。私、ずっとこのグループにいたよね。どうして皆そんな目で見るの。昨日は、みんなで遊んで、家に帰って、それから……  混乱する頭で記憶を整理していく。 確か、夜にたくさんの飴を舐めたような……あっ。  そこで気づいた。そうだ。大量の飴玉を一気に口に含んで、今までにないくらい濃密な感情に襲われたんだ。  それを自分の感情だと思い込んで、偽りの記憶をつくってしまった?そうだとしたら、私は、私は……  気づくと私は教室を飛び出していた。靴も履き替えずに、玄関を出る。  嫌だ、怖い、怖い。  この感情はだれのもの?本当に私のもの?それとも他人の感情?わからない。もう、自分がわからない。私はどんな人間だった?  私は他人の感情を集めながら、自分の感情をどんどん捨てていたんだ。自分自身を捨てていたんだ。  自然とあの男に装置をもらった場所に来ていた。何とかしてほしい。あの男がこんな装置を渡してこなければ。ああ、やっぱり使うんじゃなかった。
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