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手すりまで走って行き わあ。。と声を上げる 楓を見ながら テラスに置いてある椅子に座り テーブルに灰皿を置いて 煙草に火をつける。 この店は高台にあって眺望は抜群だが テラスからの風景が一番迫力があり綺麗だ。 「高嶺さん。すごいです! 水しぶき。。 すごい。。わあ。。綺麗。。」 あまり海に行った事が無かったのか 俺と一緒にいるようになってから どこに行きたいと聞くと 決まって海と楓は答える。 親父も海が好きだったな。。 植物状態になり 長い間 一緒に海に来る事も 出来なかったが 楓のおかげで 意識が戻り 最期にこの風景を見せてやる事が出来た。 しばらくタバコを燻らせてから 灰皿に押しつけ 火を消すと 立ち上がり 楓の横に立つ。 潮風が気持ちいい。 くすぐるように風が楓の髪をかき混ぜ 通り過ぎていき 手を伸ばし 髪を撫でた。 「高嶺さん。気持ちいいですね。」 嬉しそうに笑みを浮かべる楓に近づき そっと口を開く。 「飯の前に話しておきますが 例のガセネタを流したボーイ。 うちの奴らが居場所を特定しました。」 え。 楓はポカンと口を開ける。 「殺されると思ったんでしょう。仲間の家に 転がり込んでいたようです。 今は うちで見張っていますから場所は教えます。」
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