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え。。じゃあ。。あの。。えっと。。 楓はあたふたと慌て始め 「行かないと! えっと。。俺。見張りに。。」 「今日は休みですよ。坂田さんに怒られます。 それにもうここまで来て 戻った所で たいして変わりはない。」 冷静に諭すようにそう言うと あ。。と 手を口にやる。 クッと笑い 頭を撫でた。 「ちゃんとうちのが見張っています。 それに 罪状が無い以上 そっちは手が出せない。 嘘をついただけでは引っ張れませんから。 泳がせ 痺れを切らして 誰かと接触する所を 確認する方が得策です。 長い張り込みになるかもしれない。 今日はゆっくり休んで 気持ちも新たに 事に当たりましょう。ね。」 顔を覗き込み そう言うと 楓はしばらく黙り コクンと首を傾げた。 「あの。高嶺さん。。本当は。。」 「ええ。朝。話すつもりでした。 昨日は帰りがお互い遅くて話も 出来ませんでしたからね。 だが 楓の様子を見て 話せばそのまま休まず 見張りに行くだろうと。」 こう。と決めてしまうと楓はテコでも動かない。 何を言おうと意志を貫く。 散々経験してわかりきっている。 その前に 自分も休む事にして 楓の気分転換を優先させただけだ。 元の文句は聞き流せばいい。 「頑固な恋人に休暇を取らせる為に 少し策を練りました。」 肩を竦めてそう言うと 楓はきゅっと俺を睨み ふふっと微笑んだ。
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