Happy Birthday ~ My brother

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嘘だろ。。 景は目の前の光景が信じられなかった。 後ろで元がくすくす笑っている。 商店街の福引きで当たった温泉旅行。 何故かチケットの期限が年内で 不思議だなあとは思ってた。 でも。。 目の前に張り紙がしてある。 【営業は12月23日まで。今までのご愛顧 ありがとうございました。】 潰れてんぢゃねーーかっ! 年内の有効期限は! 勝手に辞めんな! 旅館の扉を無理矢理開けようとする俺を 元は はいはい。と羽交い締めにする。 「景。しょうがないでしょ。落ち着いて。 こじ開けても誰も居ないから。」 「だって。。。」 力が抜けたのを確認して 元は俺を離すと 真正面に向き直り 顔を覗き込んできた。 思わず顔を逸らす。 顔が見れない。 殺人的に忙しいのはわかってた。 高嶺にものすごく迷惑かけるのも。。 それでも元の誕生日にプレゼントを。。と 思った時に 裸になんちゃらは死んでも嫌で。。 かといって 元には欲しいものが無い。 服も靴も鞄もアクセサリーも興味が無いし 何が欲しいって聞けば 俺って恥ずかしげもなく即答する。 金だって俺なんかじゃ想像がつかないくらい 持ってるし そんな元にしてやれる事なんて思いつかない。 たまたま当たった福引きの景品は ちょうど良かった。 自分の為に金を使う事を基本 嫌がる元に 景品だから。と言えば素直に喜ぶだろーし 俺も裸になんちゃらより 浴衣の方がいい。 元。浴衣好きだし。。 「景? 大丈夫? 顔赤いですよ。寒い?」 想像で顔が赤くなったのか その色変わりに 元は心配そうに俺を抱きしめながら そう聞いた。
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