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「お前変わったよな。ってこの間高嶺に言ったんです。
俺より矢野さんが大事なんだろうって。
そうしたらアイツなんて言ったと思います?」
わからなかった。
「なんて言ったんだよ。」
元は目をくりくりと輝かせにっこりと微笑んだ。
「お前だってそうだろう。って。」
思わず口を噤む。
そっか。
そうだよな。
元はいつだって俺が一番大事。
何よりも俺が一番。
鬼頭がいつも心配している。
俺がいなくなったら元は組なんてすぐに放り出すと。。。
「そりゃそうだって思って。
一緒にいれるだけで俺はいいんです。
それが一番の望みだったから。
長い間 望んでもそう出来なかったのは
景が一番知ってるでしょ。」
そうだ。
元はずっと俺を求め 俺を追いかけてきてくれた。
手に入れるまで一切諦めることなく。
「そうだな。」
俺の返答に満足そうに微笑むと
最後の餃子をパクッと口に入れた。
「あ! 俺全然食ってないんだぞ!」
文句を言う俺をにやにやと眺めながら
むしゃむしゃと咀嚼し ごくんと飲み込むと
「俺の誕生日でしょ。」
元はそう言って目をくるくると回した。
なんだよ。もう。。
頬を膨らますと ぷしゅっと指でへこまされ
くすくすと楽しそうに元は笑った。
まったく。。
この笑顔には敵わない。
俺も仕方なくクスっと笑った。
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