Happy Birthday ~ My brother

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高嶺のおかげで高級旅館のスウィートルームで 美味い料理を喰い 景の浴衣姿を堪能して 最高の誕生日を過ごした元は 次の日 ご機嫌で事務所へと出社する為 迎えに来た龍の車で家を出た。 街はクリスマスの装いから正月へと 様変わりしようとしている。 一年早いな。 景と家族になり 初めて迎える正月だ。 仕事はギリギリまで忙しいだろうが 正月は少しゆっくり出来るだろう。 店も休みだし また旅行に行ってもいいな。 景の浴衣が乱れていく様を思い出し つい口元が緩む。 あの真っ白な肌が紅く染まっていく様子は 何度見ても堪らない。 普段 大雑把な景が色っぽく身をよじる。 俺だけが知っている景だ。 俺だけの景。 誰にも渡さない。 車が事務所の前に着き 龍が開けたドアから外へ出る。 階段を上がり 事務所のドアを開ける。 「おはようございます!」 「元兄貴!おはようございます!」 神田がすっと前に進み出て 部屋のドアを開ける。 窓側の自分の机に座り 煙草に火をつけ 椅子をくるっと回して 窓の外を眺めながら 足を組み 煙を吸い込み 吐き出した。 神田が部屋に入ってきてデスクの上に茶を置く。 コイツは若い衆の中でも飛び抜けて使える奴で 最近 こっちの事務所に来させるようにし 身の回りの世話から始めさせている。 龍は運転手以外にも 最近高嶺や鬼頭の手伝いを している為 来年からは神田に運転手を させる事になっている。 若いくせに落ち着いていて 冷静な判断が出来る コイツは 高嶺に似ていた。 そういえば。 煙草を灰皿に押しつけ 神田に向かって声をかける。 「高嶺はどうした? まだ来てないのか。」 俺より先に必ず事務所にいるアイツの姿が見えない。 神田が言いにくそうに口を開きかけた時 デスクの上に置いていた携帯が鳴った。
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