楓 Cooking

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朝 一度 高嶺さんが起きる前に起きて おにぎりを作って持たせた事がある。 「楓。ありがとう。でも無理はして欲しくないんです。 楓も仕事をしているんですから。 もう少しだけ待って下さい。 だいぶ先が見えてきたので。ね。」 逆に心配させちゃった。。 コクンと頷くと ぎゅっと抱きしめてくれて ちゅっとキスをしてくれる。 それでも嬉しそうにおにぎりの入った袋を振り 足早に仕事に出かけて行った。 それから 高嶺さんより早く起きて何かをする事は 出来なくなった。 忙しいのに 俺の事を心配させたりなんて。 煩わす訳にはいかない。 ただ やっぱりご飯は食べて欲しい。 色々考えて 通常勤務時間に戻ったタイミングで 朝 弁当を作る事にした。 高嶺さん用と自分用。 手で持って食べられるおにぎりやサンドウィッチ。 おかずも楊枝を刺せば食べられる物にして。 高嶺さんのいる事務所の近くの駅は通勤途中なので 一旦降りて 龍さんや佐々木さんに取りに来て貰う。 最初マンションに来てくれるって言ってくれたけど それこそ 俺のワガママで皆さんの手間を 増やすわけにはいかない。 駅まで来て貰うのも本当は気がひけるんだけど。。 かといって自分の立場で 柏木組幹部の事務所に 行く訳にはいかなかった。 お弁当と一緒に 必ずスープの入った ステンレスボトルを渡す。 飲みながら仕事も出来るし スープは栄養摂取の 一番簡単な方法だった。 高嶺さんは スープが大好きで お酒を飲むのに スープも同時に飲む。 だけど一つだけ どうしてもダメな事がある。 そう。にんじんだ。 野菜スープに入れた小さいサイコロのにんじんでさえ 器用に避けて食べる。 案の定 お弁当と一緒に渡したステンレスボトルの スープの中のにんじんも食べなかったらしく 「にんじんだけ食べさせて貰いました。 美味かったです!ありがとうございます!」 と佐々木さんに言われて 思わず はぁ。とため息をつく。 これは本当に何とかしないと。。
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