楓 Cooking

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よし。カレーにしよう。 高嶺さんはカレーが大好きだ。 だけどカレーのにんじんも絶対に食べないし みじん切りにしてハンバーグに入れて わからないようにしてもすぐに気づく。 いやいや食べてはくれるけど 嫌な顔を見るのは哀しい。 高嶺さんだって気分が良くないだろうし。。 気づかれちゃだめなんだ。 買い物をして家に帰りキッチンに食材を並べて 腕を組んで考え込む。 久しぶりの一緒の食事だ。 旨いって言わせたい。 でもにんじん大作戦も決行しなくちゃいけない。 難問だぞ。 頑張らなくちゃ。 まず屋上のプランターからにんじんを収穫する。 他の野菜や肉は既に買ってきていて でも一番の主役がこのにんじんだった。 大学の頃 土や肥料の研究をしていて 論文が賞を取った事もある。 普通のにんじんよりも甘みがあり このまま食べても本当に美味しいのだけれど。。 一度だまし討ちで食べさせた時 にんじんだとわかっていなくて 美味しいって言ってたのにな。。。 思い返し残念に思いながら いや。とりあえずは目の前の課題だ。と思い直す。 今日はドライカレーにする。 普通のカレーだと高嶺さんは目ざとく 何が入っているか気づいてしまうからだ。 にんじんを一本すりおろす。 玉ねぎ・ジャガイモ・茄子はみじん切りにして 鍋でひき肉とみじんぎりにした野菜、 すりおろしたにんじんとにんにくを炒めると 良い香りがキッチン内に広がった。 ここにトマトを投入。 缶のトマトでもいいのだが今回は種を取った フレッシュトマトのみじん切りを入れた。 あらかじめ取っておいたブイヨンでのばしながら 数種類のスパイスを入れよく混ぜて煮込む。 にんじんはすりおろしても意外と味が残る。 それを感じさせないように他の野菜はみじん切りにして 食感を出しフレッシュトマトで更に酸味を出すと にんじんの甘さだけが残り にんじん自体の味は 消えていく。スパイスも一役買っていた。 カレー粉でいいのだけど独自の調合で これだ!というまで比率を調べるのが好きで 今回も調合したスパイスを入れている。 やっぱり香りが違う。 仕上げはケチャップとソース。 それに少し醤油を入れるとピシッと味が締まった。 完成だ。 楓は満足気に頷いて 対戦相手の帰宅を 今か今かと待ち構えた。
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