鼓動

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ドッドッドッド。。。 お腹にずんずんと響く音がする。 マンションの駐車場で楓はぽかんと口を開けていた。 すごい。。 おっきい。。 高嶺さんが大きなバイクに跨って エンジンをかけている。 「古いバイクなので。ちょっと時間がかかりますが。 ・・・楓。大丈夫ですか?」 コクコクと頷くと クっと笑われた。 次の休みを合わせられたから 前に約束していたバイクでどこかに行きますか。 と 高嶺さんが言ってくれた。 「俺。。乗った事ないです。。」 そう言うと顔を覗き込まれて 「怖い?」と少し揶揄うような声音で聞かれた。 「こ・・怖くないです!」 ちょっとやせ我慢してそう言うと 高嶺さんは考え込むようなふりをする。 「ああ。そうだ。もし楓が怖いのならば 子供がバイクで二人乗りをする時に 手首をつなげるグッズがありますよ。 買っておきましょうか。 ああ。楓の手錠でもいい。」 そう言って またクッて笑われた。 もう。。。 こういう時の高嶺さんは本当に子供っぽいし 意地悪だ。 すぐに揶揄って楽しそうに笑う。 「手錠なんてしません。」 頬を膨らませてそう言うと 「俺には手錠をかけたでしょう。」と またあの時の事を蒸し返される。 「だから。。それは。。えっと。。 あんまり覚えてなくて。。。すいません。 でも。きっと。。。一緒に居たかったからで。。 高嶺さんと離れたくないって。。思ったのかな。。 絶対に離したくないって無意識に。。」 考えながら言葉を繋いでいると 高嶺さんは何故か珍しく顔を赤くして 誤魔化すように すぽっとフルフェイスの ヘルメットを俺に被せる。 意外と重たくて頭がフラフラとした。
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