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高嶺は苦虫を噛み潰したような表情で
腕を組み 考え込んでいた。
不本意だ。
何事も合理的に 完璧な計画を立て実行する。
それが俺だ。
ノープランなど。考えられない。
だが。
今 俺の頭の中には何の手も浮かんでいなかった。
来生高嶺。
お前も落ちたものだ。
自分自身を罵倒する。
言い訳など通じない。
例え 忙しかったにせよ 余裕が無かったにせよ
やれた事はあった筈だ。
事件が収束し 俺は仕事に忙殺された。
溜まりに溜まっていた仕事は
片付けても片付けても終わりが見えず
俺と元は 朝から晩まで走り回り 家に帰ると
即 ベッドに潜り込み お互い恋人を腕に抱え
ひたすら泥のように眠る。
そしてまた朝になりその温かみに未練を残しながら
身を無理やりひっぺがし 仕事に向かう。
一日はあっという間に終わり
一週間はあっという間に過ぎ去り
一ヶ月何をしたか記憶がないまま 次の月がやってくる。
そして ハッと気づけば 絶対に忘れてはならない
大事な日が もうあと数時間でやってくる。という訳だ。
どうする。
来生高嶺。
何よりも一番の問題は。。
今日もまだ仕事が終わらず
明日も絶対に休めない。
という事だ。
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