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学校へと向かう生徒の間に、ごく自然と存在していた二人と一人だったが、校門まであとわずかのところで大悟がその足を止めた。
「お前はダメだろ」
振り返り、後ろを歩く少年へそう言った。
「どうして?」
「どうしてもなにも、お前うちの生徒じゃないじゃん」
「制服も着てないしね」
「え~っ!僕も行きたい!」
「行きたいって言って行けるとこじゃないんだよ。っつーか、オレなんてむしろ行きたくない」
「やだ!楽しそうだもん。行ってみたい!」
「お前な……いい加減にしろよ!」
「――大悟」
千紘の声に顔を上げると注目を浴びていることに気付き、とりあえず少年を物陰へと連れていく。
「お願い!」
「君の気持ちもわからなくないけど……さすがにちょっと難しいな」
千紘がやんわりと納めようとするが、彼は改めて深々と頭を下げた。
「そこをなんとか……お願いします!」
困ったような表情を浮かべていた大悟だったが、ふうと大きく息を吐き出すと「わかった」と言った。
「ホント!?」
「ああ」
「やったあっ!!」
「わかったって……一体どうするつもりなんだよ?」
とりあえず、付け焼刃ではあるが思いついた方法を話して聞かせる。
「なるほどな……出来なくはないと思うけど、本当に大丈夫か?」
「大丈夫だろ。あの先生、午前中は大体職員室にいるから」
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