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不安げな千紘の肩をぽんと叩くと、彼は苦笑いを浮かべて「仕方ないな」と返した。 「いいな?オレがあの窓から呼ぶまでは大人しくしてるんだぞ」 「わかった!」 学校へと歩いていく二人に、彼は満面の笑みで手を振った。 「……先生、気持ち悪いんですけど」 1時間目の授業が始まって10分ほど経った頃、大悟はそろりと手を挙げた。 ざわつく周りの奴らを制するように、あえてやや大げさにお腹を抱える。 「さっきからなんかお腹痛くって……」 「サボりたいだけじゃないだろうな?」 普段の素行から先生の目も厳しい。 「いや、今回はホントです」 軽く呻き声を上げると、先生は諦めたようにため息をついて「保健室行って来い」と言った。 ゆっくりと立ち上がり、ふらふらと歩く。 「お前、なんか拾って食ったんだろ」 普段なら食ってかかる声にも無視を決め込む。 「先生!あいつ絶対仮病ですよ!」 「かもしれんが、はっきりわからんからなあ」 生徒たちのやり取りを聞きながら、真っ直ぐな大悟らしいベタな演技に千紘はその口元を緩ませていた。 教室をでてから少しの間イテテと声を上げていた大悟だったが、やがてその背をすっと伸ばすと、現れた階段をトントンを小気味よく降りて、保健室へと向かった。     
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