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ぷうと頬を膨らませる少年に冷たく返す。
その間を取り持つように、千紘が彼に声を掛けた。
「全然わかってないんだけど……一体、誰?」
「僕?天使だよ!」
「…………」
「な?言った通りだろ?相手にしないほうがいいって」
先に歩き出した大悟の後ろを、千紘は不思議顔でついて歩く。
そして、二人揃って駅前のファーストフード店へ入った。
「コーラとハンバーガー」
「俺はコーヒーで」
「じゃあ僕はハンバーガーセット!飲み物ウーロン茶で!」
三人目の声に視線を下げると、少年が隙間から手を挙げていた。
「……お前には聞いてないんだけど」
「じゃあ聞いて。僕、めっちゃお腹空いてる」
「知らねえよ」
「ご一緒に頼まれますか?」
視線を上げると、カウンターの向こうでお姉さんがにっこりと笑っている。
「スマイルは0円だって!よかったね!」
その言葉に厳しい視線を向けても、少年はにこにこと微笑んでいるだけで全く気にする様子がない。
「あの……お客様?」
「すいません、セットも追加で」
千紘が苦笑いを浮かべながらそう答えた。
「喋ったりしないの?」
少年はハンバーガーを頬張りながら尋ねた。
「っていうか、お前邪魔なんだけど」
「僕が邪魔っていう前に、彼に言うことがあるんじゃない?」
「は?」
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